日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ニワトリの排卵日と無排卵日における下垂体前葉中の黄体形成ホルモンβsubunitとプロラクチンのmRNAレベルの変動
山村 奈美子水谷 哲也岩澤 淳中島 邦夫田中 実土井 守上吉 道治
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2001 年 38 巻 5 号 p. J36-J46

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抄録

産卵との関連におけるLHとPRLの合成の動態を明らかにしようとして,産卵鶏と休産鶏において,一日のいろいろな時間に下垂体前葉中のLH-βsubunitとPRLのmRNA濃度をSolution hybridization-RNase protection assayを用いて測定するとともに,下垂体前葉と血中におけるLHとPRL濃度をラジオイムノアッセイにより測定した。
排卵周期中において,下垂体前葉中のLH-βsubunit mRNA濃度は排卵18-19時間前から順次増加し,排卵9-10時間前に最も高い値を示した。下垂体前葉中のLH濃度は排卵9-10時間前に有意なピ-クが見出された。血中LH濃度は排卵6-7時間前に有意に高い値が認められた。これに対して,休産鶏においてはこれらいずれに関しても一日の内で有意な変動は認められなかった。一方,下垂体前葉中のPRL mRNAとPRL濃度は,産卵鶏と休産鶏においてともに,一日の内で有意な変動は認められなかったが,血中PRL濃度は暗期後半の午前4-5時に有意なピ-クが見出された。
これらの結果から,排卵前に認められるLHサ-ジに先立ってLH合成が促進されると推察され,また,PRL合成は一日の内で顕著な変動を示さないが,PRL放出は排卵とは無関係に明暗周期と関連して暗期後半に多くなるような様相で日内変動していることが明らかとなった。

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