日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ニワトリの一日内における卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの血漿濃度の変動
山村 奈美子土井 守上吉 道治
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2001 年 38 巻 5 号 p. J47-J57

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抄録

2種類の性腺刺激ホルモンのうち,黄体形成ホルモン(LH)は排卵を誘起するとともに,プロジェステロン(P4)の産生を刺激し,一方卵胞刺激ホルモン(FSH)は卵胞発育を刺激することが知られている。ニワトリの排卵周期は約一日であるが,この周期を含めて一日内におけるLH放出の様相は明らかにされている。しかしながら,一日内におけるFSH放出の様相はいまだ十分には明らかにされていない。そこで,本実験では,照明開始を午前5時とする14時間照明で飼育した成鶏雌において,LH放出との比較において排卵日と無排卵日の一日内におけるFSH放出の様相を知るために,カニューレ法により2時間毎に24時間にわたり血液を採取し,それらの血漿中のLHとFSH濃度をニワトリLHとFSH測定用ラジオイムノアッセイキットを用いて測定するとともに,いろいろな卵巣状態にあるニワトリにおいて一日内における血中P4濃度をRIAにより測定した。また,排卵日と無排卵日の一日内のいろいろな時期に最大卵胞(F1)と2番目に大きい卵胞(F2)の重量を測定した。
無排卵日の一日内において,血中LH濃度は暗期開始直後の21時に,一方FSH濃度は明期後半の13時と15時に有意に高い値を示した。血中P4濃度は,排卵の有無に関係なく,暗期に高くなる傾向を示すとともに,排卵日には排卵6時間前頃に著しく高い値が認められた。排卵日の一日内において,血中FSH濃度は,排卵17-18時間前に相当する13時から15時にかけて有意に高い値が認められ,また暗期である排卵7-10時間前にも高い値を示した。F1とF2の重量は,排卵の有無とは関係なく,血中FSH濃度の増加が認められた直後の16時から翌日の1時にかけて順次増加し,その後に増加は認められなかった。
これらの結果は,排卵の有無に関係なく,LH放出は暗期初期に,一方FSH放出は明期の後半に高くなるような日内変動が存在すると推察された。

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