抄録
環境温度と飼料エネルギーおよび蛋白質含量が, ブロイラー•ヒナの発育におよぼす影響を検討するため, 高, 中, 低温に調節した調温室3室を用いて, 温度条件を5~35°Cの9段階として, 合計480羽を用いる4回の実験を行った。ヒナはWC×WRのF1を用い, 4週令時に試験区に区分して調温室に移し, 直ちに試験を開始し, 原則として4週間試験した。試験飼料は, TDNを73または83%, CPを16または20%として組合せた4種類とした。その結果を要約するとつぎのようであった。
1. 実験条件の範囲内では, 飼料のTDNをE%, CPをP%, 環境温度をT°Cとすると, 4~8週令の期間のブロイラー•ヒナの飼料効率Y1g/kgおよび, 増体量Y2gは, それぞれ(2)および(4)式で推定できる。(図1および2)。
Y1=-43.14+4.264E+6.685P+0.01877(T-22.5)3……(2)
Y2=193.13+7.541E+5.184P-0.7109(T-17.9)2……(4)
飼料摂取量は, 環境温度15°C以上では, 温度上昇に応じて直線的に減少した。15°C以下では, 変動が大きく温度によって大きな相違があったとはいえない。
2. 環境温度と飼料組成または性別との交互作用効果は例外なく, 有意とはいえなかった。したがって, 温度変化に対するヒナの反応は, 飼料エネルギー, 蛋白質あるいは性別の差にかかわらず, 近似している。(2)および(4)式は, この知見にもとずいて導いたものである。
3. (4)および(2)式から, E, PおよびTをそれぞれ1単位ずつ動かしたときのヒナの増体量と飼料効率の変化の程度を推定することができる。温度を1°C動かしたときのヒナの反応は, いずれも, そのときの温度Tの関数となる。22.5°Cのとき, 温度変化に対する飼料効率の変化は0となる。この温度は臨界温度の推定値と考えられる。
4. 実験の範囲内では, 環境温度が19~23°Cのとき, 増体量はほぼ最大となり, 飼料効率も一定であって飼料摂取量にも大差なく, ヒナの発育に最適な環境温度と考えられる。
5. 温度条件を一定に保つ場合, 飼料のエネルギー蛋白質含量とも高いほうがヒナの成績がよく, しかも両者の効果は互に独立とみなしうる。実験条件の範囲内では, 飼料組成の変化に対するヒナの反応を曲面でなく, 平面的に解釈できることについて考察を加えた。