日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏の Eimeria tenella の免疫に関する研究
I. 免疫鶏における盲腸組織内原虫数の変動ならびに血中抗体と感染防御との関係について
東条 英昭岡本 正幹
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 8 巻 3 号 p. 156-160

詳細
抄録

本実験は, Eimeria tenella による免疫鶏の盲腸組織内における原虫数が感染後の時間経過に伴なってどのように変動するかを観察するとともに, 原虫抽出物 (シゾント抗原) の注射が感染防御に対してどのような免疫効果を示すかを検討するために計画されたものである。供試鶏には抗生物質や抗コクシジウム剤が添加されていない飼料で飼育した白色レグホン系コマーシャルの雄雛を用いた。その結果を要約するとつぎに示すとおりである。
I. 盲腸組織内の原虫数は, 免疫鶏で非免疫鶏に比べて少なかった。しかし, 両者の間における原虫数の差は, 攻撃感染後24時間目までは小さかったが, 感染後72ないし96時間目には, 免疫鶏における原虫の増殖が, 非免疫鶏に比較して著しく低下した。
II. シゾント抗原の注射により免疫した鶏の血清は, メロゾイトに対してかなりの凝集または崩壊作用を示したにもかかわらず, これらの鶏は, 排出オーシスト数の測定の結果, 攻撃感染に対して, オーシストの経口感染による免疫鶏に比べ明らかに低いことが認められた。
したがって, これらの結果から, コクシジウムに対する免疫は, 循環抗体のみによって成立しているものでないことが推察されよう。

著者関連情報
© 日本家禽学会
前の記事 次の記事
feedback
Top