日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
食卵の長期保存に関する研究
2. 冷蔵庫および鐘乳洞内における流動パラフィン塗布鶏卵の保存
田名部 雄一西川 邦夫伊藤 清明中村 孝雄高橋 敏夫
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1971 年 8 巻 3 号 p. 168-175

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抄録
流動パラフィンを卵殼面に噴霧塗布した鶏卵および無処理の鶏卵を4月中旬より11月中旬まで7ケ月間, 調温しない研究室内, 8.5~10°Cの鐘乳洞, 気温4~6°Cの冷蔵庫内に保存し, そのハウユニット, 卵白高, 卵白係数, 卵黄高, 卵重減少を調べた。
1. 卵殼面の流動パラフィン被膜処理は, 無処理のものに比べいずれの保存区においてもハウユニット, 卵白高, 卵白係数, 卵黄高を著しく高く保ち, 卵重減少は著しく少なかった。
2. 流動パラフィン塗布による卵質の保存効果はいずれの保存区においても認められたが, 温度の低い冷蔵庫内保存の場合が最もよく, 次に鐘乳洞内の保存が優れていた。
3. 卵を新鮮卵と殆どかわらず (ハウユニット65以上) そのまま食用に出来る状態で保存しうる期間は, 流動パラフィン塗布卵の場合冷蔵庫で6ケ月, 鐘乳洞で3ケ月, 15~25°Cの調温しない室で1.5ケ月である。
4. 流動パラフィン塗布をして4~6ケ月保存した卵と産卵後6時間以内の新鮮卵を2点嗜好試験法による客観的官能検査を行なったところ, 嗜好に差は見出されなかった。
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