抄録
ショットピーニングを施した機械部品の中には使用中における熱や負荷応力などの影響によって,付与した圧縮残留応力の緩和を生じる場合がある.本研究では,ショットピーニングによって十分に加工処理した材料に対して低温熱処理で材料強度を高めた後,再びショットピーニングを施す一種の加工熱処理を行った. 低温熱処理および再ショットピーニングを施した材料において,おもに表面特性と疲労限度に及ぼす加工熱処理の影響について調べた.供試材料は焼鈍処理した中炭素鋼で,また投射材は鋳鋼製である.空気式機械を用い,投射圧力0.6MPaと投射時間100sの加工条件で行った.その結果,低温熱処理を施した試験片の場合,加熱に伴うひずみ時効によって最表面の硬化はショットピーニングによって生じる加工硬化より進むことがわかった.また,疲労限度はひずみ時効によって表面硬さの増加が見られた試験片において高くなることがわかった.再ショットピーニングを施した試験片の場合,付与された最大硬さは加工軟化によって低温熱処理したままの試験片の最大硬さに比べて低下した.また,表面近傍の圧縮残留応力値と疲労限度は高くなることがわかった.