抄録
ワイドギャップ半導体材料である単結晶GaNは,バンドギャップ3.4 eVで,熱伝導率が高く放熱性に優れる,高温での動作が可能,電子の飽和速度が速い,絶縁破壊電圧が高いなどの特長を有し,電力損失の低いパワーデバイスへの活用が期待され,ウェーハの高品質化や大口径化など,取り組みが進められている.しかしながらビッカース硬度は1800 Hvから2000 Hvと,Siの1050 Hvと比較して硬く,さらに化学的に安定なため,酸やアルカリとの反応がほとんど起こらず,かつ脆いため,非常に加工が困難である.本研究は,GaN半導体の研削加工におけるクラック発生機構を明らかにすることを目的としている.単粒研削時のクラック発生過程を詳細に検討するために,単結晶ダイヤモンド圧子を用いたGaN基板のGa極性面にスクラッチ加工実験を行った.スクラッチ加工結果より,延性状態で研削加工するためには工具の切込み深さを180nm以下に設定することが必要であることが判明した.