育種学研究
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Research Papers
近赤外分光法によるテンサイ真正種子重の推定
田口 和憲六笠 裕治阿部 英幸田中 征勝
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2004 年 6 巻 4 号 p. 179-185

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抄録
近年,テンサイの栽培において,作付けの約95%を占める紙筒移植栽培にかわり,省力・低コスト化の図れる直播栽培が見直されている.直播向けテンサイ品種の育成は,初期生育と密接に関係している真正種子重の大きい品種が有効である.しかし,従来の真正種子重の測定は,全て手作業に依存していたため,検定に多大な労力と時間を伴うものであった.そこで,近赤外分光法により,簡便かつ効率的な真正種子重の推定方法を検討した.その結果,粉砕したテンサイ果実の1100 nm~2500 nmのスペクトルのうち,2310 nm~2346 nmなどの脂質に帰属されるスペクトルを中心に定量分析を行うことにより,果実に占める真正種子の比率を求める検量線を作成することができた.作成した検量線はPLS回帰分析の結果,要因数を5とすることで,標準誤差(SECおよびSEP)2%程度の推定が可能となり,実測値と近赤外分光法による推定値との相関係数は0.81であった.さらに,この推定した比率と果実重の積から算出した真正種子重は実測値と高い相関関係(r = 0.91)を示した.以上のことから,テンサイの真正種子重は,近赤外分光法により効率的かつ実用上問題の無い精度で推定できることが明らかとなり,直播向け品種の育成に応用することができる.
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© 2004 日本育種学会
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