2020 年 11 巻 1 号 p. 61-63
劇症型溶血性連鎖球菌感染症(streptococcal toxic shock syndrome:STSS)は,急性腎障害(acute kidney injury:AKI)を含む多臓器不全が急速に進行する,致死率が高い病態であり,近年その報告数が増加している。当院ではこれまでにSTSS 症例5例を経験したが,全例がAKI,敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を合併していた。5症例中4症例に対して血液浄化療法が導入されたが,治療により腎機能は回復し血液浄化療法を離脱可能となり,最終的に生存退院に至ることができた。一方,心肺停止状態で救急搬送され,血液浄化療法の導入に至らず救命し得なかった1症例も経験した。病態の進行が極めて急速であり,早期に適切な治療を開始できるかが予後を分けると推測された。