2011 年 2 巻 1 号 p. 75-80
重症敗血症・敗血症性ショック症例に対して行われたPMX-DHPを再評価した。対象は,1994年~2010年の期間で,重症敗血症・敗血症性ショック症例に対しPMX-DHPが施行された301例(生存群201例,死亡例100例)である。28日後転帰別に生存群と死亡群に分け,背景因子(APACHEⅡスコア,SOFAスコア,Goris MOFスコア)および呼吸循環系(P/F,血圧,catecholamine index:CAI),サイトカイン(IL-6,IL-1ra),血管内皮細胞機能関連マーカー(PAI-1),Procalcitoninについて,PMX-DHP施行前後および群間で比較した。結果:背景因子は,Goris MOFスコアでのみ群間に有意差を認めた。呼吸循環系は,両群とも血圧,P/Fは有意に上昇し,CAIは低下した。IL-6,IL-1raは,両群とも,PMX-DHP前後で有意に低下したが,群間に有意差はなかった。PAI-1もPMX-DHP施行前後で両群とも有意に低下した。結語:PMX-DHPにより,重症敗血症・敗血症性ショック症例において呼吸,循環系の改善が確認された。各種炎症性メディエーターはPMX-DHPにより減少したが,転帰との関連は見出せなかった。