日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
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グループⅡ mGlu 受容体拮抗薬の抗うつ作用:mTOR シグナルおよびセロトニン神経系の関与
茶木 茂之福本 健一小池 宏幸
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 27 巻 1 号 p. 27-32

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抄録
グループⅡ代謝型グルタミン酸(mGlu)受容体拮抗薬は既存薬が奏功しないモデルを含む種々動物モデルにおいて抗うつ作用を示した。また,その抗うつ作用はケタミンと同様に即効性および持続性が認められた。グループⅡ mGlu 受容体拮抗薬の抗うつ作用に AMPA 受容体活性化を介したBDNF─TrkB シグナル活性化および mTOR シグナル活性化の関与が示唆された。さらに,内側前頭前皮質における AMPA 受容体活性化を介した背側縫線核セロトニン神経活性化の関与が示唆された。グループⅡ mGlu 受容体拮抗薬は,これらの分子レベルおよび神経回路レベルにおける機序に関してケタミンと共有することが認められた。以上の結果から,グループⅡ mGlu 受容体拮抗薬はケタミンと同様に治療抵抗性うつ病患者に対して即効性および持続性の抗うつ作用を示すことが期待される。
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© 2016 日本生物学的精神医学会
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