2021 年 32 巻 3 号 p. 141-143
統合失調症などの主要な精神疾患の発症には,遺伝と環境の相互作用が重要であると考えられているが,そのメカニズムは不明である。脳神経系には特異的な体細胞変異が存在しており,その変異パターンや頻度が精神神経疾患の病態に影響すると考えられている。近年,統合失調症患者死後脳組織や動物モデルにおいてレトロトランスポゾンLINE‐1のコピー数が増大していることが示された。本稿では,LINE‐1の転移メカニズムと母体免疫活性化動物モデルにおけるLINE‐1転移機構の解析について紹介する。