抄録
心理職としてのキャリア16年目の筆者は,刑務所などの矯正施設から始まり精神科のない総合病院,そして整形外科専門病院という全く異なる領域で臨床経験を積んできた。どの領域においても心理職として無力で心に突き刺さるような体験はあるが,振り返るとそうした事例を通して心理職として,そして個人として新たな気づきを得て学んできたことに気づく。今回はまず心理職の職域や役割について述べた後,筆者のキャリア形成に影響を及ぼしたと思われる事例を通して学びを整理した。最後にキャリアとともに形成されている職業的アイデンティティについても言及し,心理職のキャリア形成について考察した。