2022 年 1 巻 1 号 p. 541-549
JR 東日本の保線部門では,近い将来に到来する国鉄採用のベテラン社員の大量退職に備えて,これまで様々な効率化を実現してきた.その一方で,現場には最新技術だけでは対応しきれない特殊な軌道構造や保守管理技術が残存しており,鉄道事業を継続するためには,将来に渡ってこれらに対処していくことが必要である.そこで,保線技術の維持継承と発展を図るため,2018年に本社設備部内に保線技術管理センターを発足させた.本稿では,保線技術管理センターの使命と役割などの概要,現場からの技術的相談に対する直接的支援,保守困難箇所改善力向上のための各種支援,技術情報の蓄積と社内共有化,未来に向けた技術基準や軌道構造の変革について記述し,保線技術の維持継承の取組みの参考事例として示す.