2015 年 71 巻 2 号 p. I_497-I_507
締固めた地盤材料の含水比の増加に伴う工学的性質の変化を土の微視的構造によって考察した例は多い.しかし,過去の研究での土の微視的構造は力学試験挙動を解釈するためのツール的な役割であり,物理的な意味合いを持つパラメーターによる定量的な考察には至っていない.そこで本研究では,含水比を変化させて作製した砂質土を対象に一連の力学試験を行い,得られた変形・強度特性の変化をX線CTスキャンから取得した土粒子間サクションと配位数によって評価した.その結果,不飽和・飽和供試体の変形・強度特性の変化は,それぞれサクションや配位数の変化と整合する傾向にあった.このことから,締固め時の含水比を変化させた地盤材料の変形・強度特性が最適含水比よりも乾燥側の含水比で最大となることには,配位数が関与していることを見出した.