2020 年 76 巻 2 号 p. I_553-I_564
軌道座屈防止のためにはレール温度管理が重要である.地物の陰がレール温度に及ぼす影響を明確化し,レール温度管理に反映させるため,地理データと気象データからレール温度分布を予測する手法を新たに提案した. 実軌道にてレール温度分布を測定し,予測値と比較した結果,提案手法により,日陰と日向,気象条件の差を含むレール温度分布を,冬と夏の両方で再現できることを実証した.また,最高レール温度を誤差 2℃以下で予測できた.さらに,提案手法を実軌道に適用し,夏季の予想最高レール温度を試算した結果,現行の管理では場所によらず一様なレール温度分布を仮定しているが,地物の影響等により最高レール温度が 2℃以上低下する区間が,今回計算対象とした区間の中で 16%,3℃以上低下する区間が 9%存在することが分かった.