2014 年 70 巻 3 号 p. 91-108
維持管理の効率化と定量化を目的として,センサーを用いた長期モニタリングの実用化が進められている.その一方で,得られたモニタリングデータに基づいて異常事象の検出や劣化の進行過程を抽出するための方法論は十分に整備されていない.本研究では長期モニタリングにより取得した時系列データの統計的特徴に基づく劣化予測手法を提案する.具体的には,時系列モデルの誤差項の分散の変動をトレンド付きのARMAモデルで表現したARMAX-GARCH回帰モデルにより表現するとともに,推計したARMAX-GARCHモデルを利用して詳細点検を実施する時期を予測する方法論を構築する.最後に,高架橋のジョイント部材を対象とした長期モニタリングデータへの適用を通じて,本手法の有効性を検証する.