2011 年 67 巻 6 号 p. II_267-II_278
CO2排出量の削減に向けて,社会資本分野においても個別分野,事業,技術についてCO2排出量に関する計算事例が蓄積されつつあるものの,社会資本分野全体での着実なCO2排出量の削減やその評価に必要な共通の計算手法は確立されていない.本稿では,CFPによる社会資本分野でのCO2排出量の計算の共通手法を提案する.計算対象は,社会資本関連の重要なCO2排出量のシェアを有し,各意思決定場面におけるCO2排出量の計算の基礎となる,建設資材とする.提案する手法は,資材製造の原料・燃料利用等の主要な活動について,詳細な物量情報で計算するとともに,共通性を確保するために,その他の活動によるCO2排出量を産業連関表で補完するものである.着実なCO2排出量の削減に資する計算手法に求められる要件を整理し,本手法がこれらの要件を満たすことを確認した.