抄録
河川や湖沼等の底質は,有機物の蓄積により嫌気化が進み,水質の悪化や生態系への影響が問題となっている.その対策として好気処理の検討が行われている.しかし,底質の複合毒性や,好気処理過程の環境影響評価は充分とは言えない.
我々はオオミジンコ(Daphnia magna)を利用したバイオアッセイにより,ベトナム河川底質の毒性,および室内好気処理実験による毒性変化と溶存イオンの関係について検討した結果,以下のような知見を得た.(1)硫化物,アンモニア,および塩素の毒性が影響するはずであるが,何らかの複合作用によりそれぞれの毒性はマスクされる現象が示唆された,(2)有機物が分解した中間生成物により再毒性化する現象が確認され,その一つの要因として亜硝酸イオンが示唆された.