2012 年 68 巻 5 号 p. I_221-I_226
CMIP3マルチ気候モデルによるSRES A1B, A2, B1シナリオに基づく出力値を農作物収量算定モデルの入力値に用い,コムギ・トウモロコシの2040-2059年,2080-2099年における生産量の現在(1980-1999年)からの変化を見積り,気候変動が農業生産に与える影響を不確実性を考慮して評価した.コムギの地球全体における生産量は近未来,未来とも全シナリオ下で減少することが示され,東アジアでは生産量が増加する一方,南アジアやヨーロッパでは大きく減少する結果を得た.トウモロコシは現在の主要生産域での生産量減少は微小な幅にとどまることがわかった.B1シナリオでは将来における生産量変化のモデル間のばらつき,つまり不確実性の幅が最も小さい結果となった.