抄録
近年,産業界における環境負荷削減の取り組みとして,自主的アプローチが注目を集めるようになっている.本研究では,2001年から2003年に日本で実施された第2期自主管理計画を分析対象とし,自主管理計画におけるジクロロメタン排出量削減効果の実証分析を行った.分析結果より,変化量でみた場合には自主管理計画への参加事業所と非参加事業所との間に統計的に有意な差が見られた.これは,非参加事業所に比べ,排出規模の大きい事業所が計画に参加していたことが要因として考えられる.一方で,変化割合でみた場合には統計的に有意な差が見られなかった.これは,第2期実施期間以前から参加事業所が削減取り組みをおこなっており,実施期間における削減パフォーマンスが過小に評価されている可能性が示唆される.