抄録
福島県での現地調査により土壌中の放射性セシウムの移動性は低いことが,さらに,乾湿サイクル試験により土壌中の生物利用可能な放射性セシウム量は時間経過とともに減少することが示された.また,移流分散方程式と点減衰核積分法を用いて,土壌中の放射性セシウムに起因する空間線量の経年変化を推定するモデルを構築した.この際,土壌中の放射性セシウムの分配係数が2段階に変化するモデルによって,土壌中の放射性セシウム分布と,空間線量のモニタリング値の推移を良く表すことができた.このモデルを用いると,平坦な市街地における空間線量は2011年8月の2年後には50%以下になることが,また,1μSv/hの地点であれば10年弱経過すれば0.19μSv/hまで減少することが予測された.また,除草の影響は大きくないことが推測された.