2013 年 69 巻 5 号 p. I_171-I_176
統計的ダウンスケーリング手法により,対象地点最近接のCGCM3モデル出力値,NCEP再解析値および地上気象観測データを用いて,SRES A1B, A2シナリオ下における日単位気候データセットを作成した(1961-2100).得られた気候値を農作物収量算定モデルの入力値に用い,愛媛県松山市にある圃場における現在(2007-2011年),将来(2071-2100年)の水稲収量および蒸散,灌漑投入水量等を見積もり,気候変動が水稲の収量や水収支に与える影響を評価した.その結果,高CO2濃度下では両シナリオで30%以上収量が増加する結果となる一方,水稲の蒸散量は12%減少することが明らかとなった.また,将来の灌漑必要水量はA1Bで28%,A2で36%増加し,河川からの取水量増加の必要性を示唆する結果となった.