2013 年 69 巻 6 号 p. II_93-II_104
環境配慮行動に影響を及ぼしうる心理的因子は多様に示されてきたが,様々な行動への個別の対応は十分ではない.モデル化は,単純で一般的なものを求めるが,それが制限ともなり,異なる行動には異なる心理的因子が影響することを表現できない.よって本研究では,規定因となりうる様々な心理的因子から包括的な心理モデルを個別行動ごとに構築した.アンケート結果を用い,探索的因子分析によって人々の心理的因子を抽出し,共分散構造分析によって行動に至るメカニズムをモデル化した.結果,環境問題全体への認知は行動の初期段階でしかなく,行動に至るには対象行動自体への認知が及ぼす影響が大きかった.行動意図の規定因は,行動への肯定的な態度及び有効性認知に加え個人規範,行動へ至る規定因は,簡単だとの認知,習慣化である行動が多かった.