2016 年 72 巻 5 号 p. I_59-I_64
海洋の流動を知る上で海上風は流れの情報と共に,重要な物理量の一つである.流れや海上風については従来はADCPや船舶やブイ,観測塔を使用しての観測がなされてきた.近年では衛星を利用した海上風推定が可能となり,今まではデータを得ることが困難であった海域においても空間的な観測がなされるようになった.しかし,衛星を利用した海上風推定では空間・時間分解能が低く,構造物のある海域や沿岸域での推定は困難である場合が多い.
そこで本研究では,時間分解能の高い波高・周期データの観測が可能な海洋短波レーダを使用した海上風の推定を行うための手法について検討を行った.さらに従来行われていたTobaの3/2乗則の係数の決定方法についても新しい係数の決定法について検討した.その結果,7地点で推定値と実測値の一致が見られた.