土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第24巻
防御行動データに基づく大気質改善便益の計測
奥山 忠裕
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2016 年 72 巻 5 号 p. I_73-I_84

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抄録

 本研究の目的は,軽微な汚染状態でも便益計測を可能とする顕示選好データによる大気質の便益計測である.健康水準と関連した大気質のデータを調査し,マスク需要関数を推計,利用可能性について検証した.推計モデルとして,ポアソン回帰(PSR),一般化端点解モデル(GCS),家計内生産関数モデルである(HPF)を用いた.便益計測の結果,PSRを用いた場合,約1円~約681円/年,GCSで約6円/年~約4,226円/年,HPFで約0円/年~約9円/年となった.また,健康水準を考慮した場合,HPFでは8円/年~28円/年,GCSでは335円/年~3,648円/年として計測された.結果として,PSRおよびGCSは利用可能であるものの,HPFは従属変数の選択に課題がある点が指摘された.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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