2018 年 74 巻 3 号 p. 117-125
微生物分解による嫌気・好気連続処理は,揮発性有機化合物(VOCs)による複合汚染浄化の有望技術である.本研究は,クロロエチレン類を嫌気分解後,トルエン,ベンゼン,ジクロロメタンを好気分解するコンソーシアムにおいて,安定同位体プローブ法による好気分解微生物の同定を目的とした.コンソーシアムに1種の13C-VOC及び他2種の12C-VOCsを添加後,経時的に抽出したDNAを密度勾配遠心分離で分画し,細菌叢を解析した.13C-トルエン及び13C-ベンゼンの添加で,それぞれPseudomonas stutzeri及びPseudomonas alcaligenes近縁細菌のDNAが重比重画分へシフトした.これらの細菌が,嫌気・好気連続処理において各々の汚染物質分解を直接的に担う微生物であると推察された.