抄録
沖縄地方では降雨に伴って過度の土壌侵食が発生し,濁水が沿岸域へ流入することによって,サンゴをはじめとする水域生態系に多大な負の影響を与えている.土壌侵食の発生源対策として,藻類・菌類による土壌被覆(Biological Soil Crust, BSC)に着目し,受食性の評価試験を行った.その結果,裸地条件下では降雨強度や掃流力の増大に伴ってインターリル侵食量およびリル侵食量も増大したが,BSCによる土壌被覆条件下では侵食量の軽減が見られた.特に,リル侵食試験では,十分大きな掃流力を与えても侵食が発生しなかった.また,降雨によってBSCの剥離が確認されたが,侵食量抑制効果は持続した.試験結果から同定された受食係数のベース値をWEPP (Water Erosion Prediction Project)に入力して解析した結果,BSCによる土壌被覆によって裸地状態の90%程度の侵食量を抑制できることが示された.