2018 年 74 巻 7 号 p. III_123-III_132
鋳鉄管やダクタイル鉄管などの鉄管は既設の水道管の約6割を占めるが,その老朽化に伴う腐食が重要な課題となっている.しかし,従来使われてきた宮田らの腐食予測式は,腐食深さ0 mmのデータを除外しており,また腐食速度の確率分布を示すことができなかった.そこで本研究では,これらの点を改善し,腐食性による埋設環境(土質,土壌比抵抗)の分類法を示すとともに,埋設環境ごとの腐食深さの確率分布をBootstrap法により推定した.その結果,鉄管の5 %が腐食深さ6 mmに達する期間は,土壌比抵抗1500 Ω・cm未満の場合では,砂系土質で45年以上,シルト系で約40年,粘土系では約30年と推定された.また,腐食性が低い埋設環境でも,腐食性が高い海成粘土に隣接することで腐食性が高まるため,周辺環境も含めた調査と解析が重要であることを示した.