抄録
本研究では,たて編みガラス繊維織物に熱硬化樹脂を含浸させたライニング地中熱交換器(LBHE)を提案し,コア材およびライニング材の基本的な物性値を調べるとともに,掘削深度95 mの実証試験を行った.その結果,本織物は施工に必要な伸縮性および強度を有しており,またフィラー未混入のライニング材と20%混入したライニング材の熱伝導率はそれぞれ0.32および0.47 W/(mK)となった.実証試験の結果,LBHEは掘削体積の75%に膨張していることが確認できた.さらに熱応答試験(TRT)を実施し,地層の有効熱伝導率および熱抵抗を求めた結果,フィラーを20%混入したLBHEの熱抵抗(0.035 K/(W/m))は熱交換表面積が大きいために,ダブルUチューブのそれ(0.063 K/(W/m))よりも45%低かった.