2019 年 75 巻 5 号 p. I_15-I_23
気候変動に対する緩和策と適応策についてその効果を定量的に示し比較した.二次元不定流モデルと治水経済調査(案)を用いて,洪水時の浸水深と被害額を算出した.また2050年における洪水被害を推定するため6つのGCMを用いて将来気候における降水量を求め,それを入力値として将来の浸水深と被害額を求めた.また,適応策として土地利用規制に着目し,その効果を検証した.RCP8.5シナリオからRCP2.6シナリオに温暖化を緩和することによる洪水被害軽減額は年192億円と推定され,再現期間100年の洪水時に10m以上浸水する箇所を規制する土地利用規制による適応策の効果は年576億円と推定された.また,費用対効果について考察すると緩和策は0.056となる一方,適応策の費用を288億円に抑えられれば適応策の費用対効果を2.0以上に維持できると推察される.