2019 年 75 巻 5 号 p. I_403-I_410
フッ素に関する一律排水基準は8mg/Lであるが,温泉旅館に対しては適切な処理技術が無いことなどから30mg/Lあるいは50mg/Lという暫定基準が適用されている.本研究では,隔膜で陽極と陰極とに隔てられた電解槽で温泉水を電解することによって陰極側に水酸化マグネシウムを生成させてフッ素を共沈除去することを試みた.原水に下呂温泉の源泉を用いて実験を行った.下呂温泉はマグネシウムを含まないためマグネシウムを添加する必要があったが,100mg/Lの添加で原水のフッ素濃度約17mg/Lを8mg/L以下に低下させることができた.フッ素除去のメカニズムについてモデルを構築した.モデルの結果よりフッ素除去量は,マグネシウムの沈殿量とその時のフッ素濃度に比例することがわかった.