2019 年 75 巻 6 号 p. II_17-II_27
電力需要の変動幅の拡大は,負荷率の低下による電力供給コストの増加だけでなく,化石燃料の消費の増大も招く.気候条件と時間単位の電力需要との関係を明らかにすることは,効率的な電力供給と地球温暖化問題への対応,市街地高温化への適応策等を検討するうえで重要である.本研究では,気温と湿度の違いが毎時電力消費量の多寡に及ぼす影響を把握することを目的として,人々の活動や様々な気候条件に基づいて消費電力を推定する回帰モデルを構築し,多様な影響要因をコントロールしたうえで,湿度の異なる環境下における気温感応度の違いを示した.結果,夏季日中において湿度の影響は大きく,湿度が高い場合には,1)より低い気温でも消費電力は上昇に転ずること,2)気温1℃あたりの消費電力増加率が高くなることが明らかとなった.