2019 年 75 巻 6 号 p. II_247-II_259
本研究では福岡県北九州市をケーススタディの対象地とし,下水汚泥の燃料化における水分乾燥工程の熱源が異なるケースを設定し,温室効果ガス排出削減効果および事業コストで比較評価した.乾燥熱源には地域の廃棄物由来の熱・バイオガス,産業工場の排熱利用を想定した.比較ケース【case1】下水汚泥由来の消化ガスによる汚泥の造粒乾燥,【case2】セメント工場の排熱による汚泥乾燥,【case3】下水処理場と隣接したごみ焼却場の焼却排熱(過熱蒸気)による造粒乾燥,【case4】一般廃棄物から回収したバイオガスによる造粒乾燥.推計の結果,温室効果ガス排出削減量,事業コストともにcase2がもっとも優位となり,産業工場の排熱を利用して,下水汚泥エネルギーを最大限に活用することの有効性を定量的に明らかにした.