2020 年 76 巻 5 号 p. I_109-I_119
我が国の日本海側の地域では,Rain-on-Snow (RoS)に伴う融雪出水が冬季に極端化すると予測されている.本研究の目的は,RoS起因の融雪出水に対する気候変動の影響を流域スケールで評価することである.本研究は庄川流域を対象として,積雪・融雪過程を考慮した水文モデルに気候予測データベース(d4PDF)の気象データを標高に応じて適切に入力した.温暖化に伴い,平均的な融雪出水量は減少するものの,これまでよりも大きい融雪出水ピーク流量が出現することが示唆された.RoS起因のピーク流量も温暖化に伴い極端化する結果となった.RoS起因の極端なピーク流量は現在気候の12~3月においてほとんど出現しなかったが,将来気候において頻出することが示唆された.