2020 年 76 巻 5 号 p. I_187-I_195
本研究は,企業を対象にした質問紙調査により,企業における電気自動車(EV)の導入状況等の実態把握,および,EVの導入意思の影響要因の特定を行った.実態把握の結果,EVの導入状況とISO14000シリーズの取得状況との間に有意な関係性があることが明らかとなった.共分散構造分析の結果,EVの機能性評価から導入意思への標準化解が最も大きいことが示された.また,企業の社会的責任やEV導入による企業イメージ評価が導入意思に対して有意に影響を与えているという企業の独自要因が抽出された.多母集団同時分析の結果,社用車の利用頻度が高いグループでは,充電スタンド評価から導入意思への標準化解が有意に大きかった.非常用電源としての機能性を高めた車種の開発や充電スタンドの一層の整備と整備状況の周知が,企業におけるEVの普及に効果的と考えられる.