2020 年 76 巻 5 号 p. I_197-I_204
本研究では,全国人口5万人以上及び北海道の全ての地方自治体に対しアンケート調査を通じ,公共施設への地中熱ヒートポンプシステムについての導入意識とその要因,導入されたシステムの分析を行った.回答を得た5万人以上443件, 5万人未満117件の内,地中熱ヒートポンプシステムを知っていたのは9割だが,実際に導入していたのは約1割に留まった.導入課題としては,導入コストの低減が共通し,5万人以上では設計・積算方法の規格化・標準化,5万人未満では環境負荷低減効果の定量化が挙げられた.判別分析からは,人口5万人以上では暖房デグリーデイ,地中熱利用促進協会会員数,人口,5万人未満では人口と人口増加量,緑の分権改革への参加が導入要因になると分析された.また回答を得た導入コストを地中熱交換器延長,ヒートポンプ出力のべき関数として近似した.