2020 年 76 巻 5 号 p. I_233-I_242
本研究では,全国の都道府県,政令指定都市の環境部局を対象として,地域気候変動適応計画の詳細な内容分析,聞き取り調査,質問紙調査により,科学的知見の実装化に焦点をあてながら,経年的な変化を分析する一方で,地域気候変動適応センターが今後具備すべき機能について明らかにした.その結果,第1に,科学的知見を,自治体の単独予算を使って収集するのは稀であり,国による補助事業の影響を受ける.第2に,より詳細な空間スケールや近未来の時間スケールでの気候データと影響評価という自治体のニーズに近づいた科学的知見が活用される事例が今後は増える傾向にある.第3に,地域気候変動適応センターは,科学的知見の翻訳やニーズとシーズの共有の役割を担うことも肝要である.