2020 年 76 巻 5 号 p. I_243-I_252
パリ協定気候目標の達成に向けアジアにおけるエネルギーシステム転換の役割は大きく,日本の技術輸出の観点からも,アジアにおける投資需要を把握することは重要である.本研究では,気候目標達成に必要となるアジアの2050年までのエネルギー投資,2030年の短期削減目標水準の影響を定量的に評価した.結果,アジア各国が現状の2030年目標を上回る追加削減を行わない場合,それ以降に急激なエネルギーシステム転換が必要となり,2050年時点の投資額は,2℃目標達成に向けて2030年以前から追加削減が進む場合に比べ約2倍となった.また炭素回収貯留を伴わない石炭火力発電は2050年までにすべて停止し,2030年の追加削減が無い場合,アジア全域で約1,200GWが耐用年数以前に停止し,回収不能資産となる.これは2030年に追加削減が行われるケースと比較し約2倍の量に相当する.