2020 年 76 巻 5 号 p. I_289-I_299
大谷石採掘跡地の地下空間が有する冷熱エネルギーを持続的に利用するには,地下空間の温度上昇を適切に予測しなくてはならない.数値解析による将来予測には大谷石の熱物性が必要となるが,大谷石は場所によって岩相が異なるため熱物性の地域的な偏在性が大きく,地域全体の空間的な熱物性分布の評価が課題であった.そこで,従来方法よりも安価で多地点に実施可能な地下空間を利用する原位置調査と一次元非定常熱伝導解析により熱物性値を評価する手法を提案した.原位置調査には過去に宇都宮市が実施した実験結果を活用した.室内試験による測定値と既往文献の熱物性値を用いて実験結果の再現計算を行ったところ,良好な再現性を示し,本提案手法の有用性を確認できた.さらに,本提案の実用化を目指して解決すべき課題を把握した.