2020 年 76 巻 6 号 p. II_23-II_34
近年,最終処分場の長寿命化によって,施設の老朽化や浸出水質の変化による問題などが懸念されている.一方で長寿命化した最終処分場は将来の気候変動の影響を受ける可能性があり,特に雨の降り方の変化による浸出水の内部貯留や溢流への懸念が高まっている.そこで本研究では上述の問題の体系的な実態把握を行うため,全国の最終処分場を対象にアンケート調査を実施した.これにより長寿命化に伴う問題対応・浸出水管理(内部貯留と浸出水質の経年変化)・災害対応について全国規模の件数や対応事例などの現状把握ができた.今後進行する長寿命化・気候変動に備えた最終処分場の計画的な検査・修繕の検討と,浸出水処理施設の規模・処理プロセスの見直しを含めた議論の必要性が示唆された.