2020 年 76 巻 6 号 p. II_227-II_235
確率雨量は下水道や河川の治水計画,設計指標として用いられる.気候変動を考慮した治水計画のためには,気候シミュレーションから得られる確率雨量が必要となる.本研究では,大規模アンサンブル気候予測データベース(d4PDF)を5kmダウンスケーリングしたd4PDF(5km,SI-CAT)を用い,近畿地方を対象に将来気候下における確率雨量の変化倍率を求めた.近畿地方全域,4つの気候区分単位,府県区分単位の異なる空間スケールでの変化倍率の統計的分析を行った結果,地域別に変化倍率を設定する必要性を示した.さらに,将来の降雨強度式から雨水流出量を算定した結果,現行の管きょ径ではピーク流量を流すことはできないが,グリーンインフラの導入により,適応できる可能性があることを示した.