2020 年 76 巻 6 号 p. II_9-II_16
循環型社会の形成に向け,ストック型社会の重要性が高まっている.物質ストックはフローと表裏一体の存在であり,社会に価値を提供する一方,過剰な資源投入や将来廃棄量の増加にも影響する.社会に蓄積・滞留する物質ストックを適切に管理し,質の高い物質ストックを将来世代に残すには,利用度を考慮した物質ストックの把握が必要である.本研究では,使用年数モデル法を用いて日本全国の住宅ストック量を推計し,利用度区分に従い退蔵量・現役量を明らかにした.2018年の住宅ストック量は51.9億トンであり,構造種別では木造 22.4億トン,SRC造 3.9億トン,RC造 17.6億トン,S造 7.6億トンであった.また,住宅土地統計調査における空き家率によって空き家のストック量を推計した結果,退蔵量にあたる「その他の住宅」は3.0億トン存在し,住宅数の増加に伴い今後も増加することが予想された.