土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第57巻
応用生態工学的アオコ対策法に向けた珪藻Nitzschia paleaの至適増殖条件の検討
渡邉 俊介大隈 一輝PODIAPEN Tannen Naythen藤林 恵井芹 寧郝 愛民久場 隆広
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2020 年 76 巻 7 号 p. III_367-III_373

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抄録

 アオコ防除技術へ適用するための基礎的知見を得るため, アオコを形成するシアノバクテリアMicrocystis aeruginosaと競争関係にある珪藻Nitzschia paleaに着目し, N. paleaの増殖に与える栄養塩濃度, 水温, pHの影響を検討した. N. paleaの窒素における最大比増殖速度𝜇𝑚𝑎𝑥及び半飽和定数𝐾𝑁は, それぞれ0.52 day-1, 0.12 mgN L-1であった. リンにおける𝜇𝑚𝑎𝑥及び𝐾𝑃は, それぞれ0.62 day-1, 0.035 mgP L-1であった. 珪素における𝜇𝑚𝑎𝑥及び𝐾𝑆𝑖は, それぞれ0.68 day-1, 0.48 mgSi L-1であった. N. paleaの至適温度は15~25 ℃付近であったが, アオコが発生する夏季の水温を想定した30 ℃においても活発に増殖した. また, pHの至適条件はpH 7.0~9.0であり, アルカリ性においても増殖したことから, N. paleaはアルカリ性の水域で発生しているアオコの増殖を抑制するために利用できると考えられる.

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