土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
77 巻, 2 号
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和文論文
  • 亀田 一平, 平山 修久
    2021 年 77 巻 2 号 p. 22-30
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
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     本研究の目的は,因果モデルを用いて,災害廃棄物対策に対する自治体職員の当事者意識の醸成メカニズムを明らかにすることである.まず,自治体職員を対象としたアンケート調査を実施し,災害廃棄物対策に関する当事者意識に係る潜在的因子の因果連鎖構造を構造方程式モデリングした.その結果,自治体職員における災害廃棄物対策に係る処理計画策定業務,仮置場業務,処理フロー作成業務の3つの因果モデルを導出した.これらの因果モデルから,災害廃棄物対策業務に係る知識を得たとしても,必ずしも当事者意識の醸成につながるものではなく,知識の獲得から関心が高まり,災害廃棄物対策に係る当事者意識が醸成されうるものと示唆された.また,災害廃棄物対策に係る関心の醸成においては,被害想定や地域特性に係る知識の重要性が示された.

  • 杉村 佳寿, 小林 登茂子, 三戸 勇吾, 吉原 哲, 岡田 知也, 桑江 朝比呂
    2021 年 77 巻 2 号 p. 31-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     博多港では「博多湾NEXT会議」が設立され,アマモ場づくりを中心に環境保全創造に取組んでいるが,今般ブルーカーボン(BC)オフセット制度並びに入港料の一部と寄付金を活動の財源として活用し,かつ基金として積立てる制度が創設された.しかし,BCオフセット制度は,BCが我が国の現在のNDCに含まれていない点でパリ協定の枠組みの中の制度ではなく,クレジット創出量や販売額が少なく効果の説明が困難なことから企業のESG経営等に対して十分な訴求力はない.寄付金等制度も,寄付者へのインセンティブがなく,寄付へのモチベーションが高まりにくいという課題がある.本稿ではこうした課題の解決策や,アマモ場のコベネフィットを評価する制度への拡充により独立採算での環境保全創造事業の実施も可能となるという今後の展望を示す.

  • 足立 進吾, 荒井 康裕, 小泉 明, 高橋 信補, 小熊 基朗
    2021 年 77 巻 2 号 p. 49-59
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/20
    ジャーナル フリー

     管路老朽化に伴い漏水事故の増加が懸念される中,事故対応を迅速化する方策が重要性を増している.配水流量の監視による漏水事故発生の判定手法が提案されてきたが,緩やかに増加する漏水事故を速やかに判定する手法は確立されていない.本研究では,予測ラグの異なる複数の配水流量予測モデルを併用することで,緩やかに増加する漏水を含む多様な漏水事故を早期判定する監視手法を提案する.小規模配水区域を対象に,様々な規模,増加の緩急,発生時刻の漏水事故発生を模擬するデータを生成して提案手法を適用した.単独の予測モデルに基づく手法と比べて,提案手法は漏水事故発生の判定見落としを低減するとともに,本研究の適用区域では判定に要する時間を1‒2時間程度短縮する効果が見込まれた.対応を早めて被害低減に貢献できる可能性がある.

  • 橋本 隆生, 風間 しのぶ, 橋本 崇史, 小熊 久美子, 滝沢 智
    2021 年 77 巻 2 号 p. 60-71
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,河川流域の土地利用等の指標と,河川の水質汚濁や下水道整備による水質改善との関連を明らかにするため,国内の101河川流域を,森林,農地および市街地面積に基づいた土地利用指標により,4つの河川流域類型に分類した.全国的には,森林や農地面積比率が高い類型に属する多数の河川流域では高度成長期にも深刻な汚濁は見られなかったが,市街地面積比率が高い類型に属する河川流域ほど水質汚濁が深刻化した.しかし,同じ類型に属する河川流域でも,人口密度が高く低水流量あたりの流域面積を表す低水比面積が大きい河川ほど,汚濁が進みやすいことが明らかになった.一方,農地と市街地を合わせた開発可能面積比率が高い河川流域に比べ,森林面積比率が高い河川流域ほど下水道整備が進みやすく,それによる水質改善効果が顕著であった.

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