土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第29巻
世界およびアジアにおける二酸化炭素の地下貯留容量を考慮した気候変動緩和策の評価
西浦 理藤森 真一郎大城 賢
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2021 年 77 巻 5 号 p. I_251-I_262

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抄録

 パリ協定で示された気温目標達成のための排出削減技術として,CO2を回収し地下に貯留する技術(CCS)が注目されている.CCSの利用には貯留容量の制約が存在し,特に人口密度の高いアジアでは排出量に対してCCS容量の制約が相対的に大きい可能性がある.本研究は世界全体とアジア8か国を対象に貯留容量を推計し,貯留層の分布や調査状況からCCSの利用が制限されたときの排出削減策への影響を一般均衡モデルを用いて計算した.結果は,世界全体では十分な容量が確保される一方で,日本やインドでは容量が不足する可能性を示した.また,CCSの利用制限により,経済損失やバイオエネルギー需要の増加が見込まれた.本研究の結果は地域間での貯留層の共有などの国際協調の必要性を示唆している.

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