2021 年 77 巻 6 号 p. II_199-II_206
大規模自然災害では一度に大量の廃棄物が発生するため,被災地域の復旧・復興や災害への事前対策として,災害廃棄物発生量を把握することが重要である.しかし,水害による廃棄物の発生原単位は2000年代初頭の処理実績に基づいており,近年頻度や規模が増加傾向にある大規模な水害を対象として原単位を推計した既往研究はない.本研究では,2009〜2018年の水害を対象として,市町村別の住家被害棟数及び廃棄物処理量に関する災害情報を収集し,住家被害区分別に災害廃棄物の発生原単位を推計した.その結果,発生原単位[トン/棟]は,全壊70.683,半壊9.373,一部損壊8.507,床上浸水5.137,床下浸水0.278と推計された.また,既往研究による原単位を用いた場合より,精度良く推計できることを明らかにした.