2022 年 78 巻 5 号 p. I_189-I_197
本研究は,令和元年東日本台風時の五福谷川(宮城県丸森町)における河道沿いの斜面崩壊や土石流の事例を用いて,土砂流出を緩衝した樹木の抵抗力を求めたものである.災害の激甚化を促す恐れのある複合化現象に対する緩和効果を定量化する目的より,レーザープロファイラーやUAVにより取得された空間数値情報を用いて事例を検証した.土砂・洪水氾濫の集中した地域であるものの,五福谷川では,25/54箇所(46%)で樹木の土砂流出の緩衝事例を抽出した.特に大きな緩衝効果を示した領域では,43.73kN/本の樹木(スギ)に相当する抵抗力が発揮されてる結果を得た.なお,樹齢―樹高関係式を参考にすれば,当該地区の樹木の生長量は著しいことが示された.