2022 年 78 巻 5 号 p. I_299-I_308
気候変化に伴う流況改変の空間パターンを流域全体で評価した研究事例は少ないのが現状である.そこで本研究では,宮崎県小丸川流域を対象に分布型流出モデルを適用し,過去40年間の気候変化とそれに伴う流況改変程度の空間パターンを分布型流出モデルと水文改変指標(IHA)により評価した.研究期間を基準期間と影響期間に分割し,両者のIHAの比により流況改変程度を定量化した.影響期間において,冬季の流量増加と春季の流量減少が確認された.これは気温上昇に伴い冬季における降雪が降雨に変化し,積雪量が減少したことが要因と考えられる.また,上流~中流において日最大流量に有意な正の改変が確認された.よって,上流域において,出水に伴う底生動物の受動的流下の促進が予想され,河川生態系が広範囲で影響を受けている可能性がある.