2022 年 78 巻 5 号 p. I_387-I_395
共有社会経済経路(SSP)別の気候シナリオデータを用いて,気候変動と土地利用変化が洪水被害に与える影響を全国評価した.二次元不定流モデルを用いて洪水氾濫による浸水深を算出した.また,浸水した土地の資産額に浸水深に応じた被害率を乗じることにより洪水被害額を算出した.将来気候における極値降雨の推定に5つの全球気候モデルの出力値を用いた.基準気候(1981年から2000年)から近未来気候(2031年から2050年)にかけて年期待被害額は,SSP1-2.6において2%増加,SSP5-8.5において7%増加すると推定された.基準気候から21世紀末気候(2081年から2100年)にかけて年期待被害額は,SSP1-2.6において33%減少,SSP5-8.5において11%減少すると推定された.